釈尊一代の結経(結びの経典)といわれる『阿弥陀経』には、二つの特徴があります。
一つは、「無問自説の経」と呼ばれる点です。
お経は普通、お釈迦さまがだれかの質問に答えられる形式で始まりますが、『阿弥陀経』は問わず語りに、釈尊自ら説法を始められています。
二つには、「舎利弗の沈黙」です。釈尊十大弟子の一人、智恵第一の舎利弗尊者がご説法中に、三十六回も名前を呼ばれながら、一度も返事をしていないのです。
弟子の礼を失するほど、舎利弗尊者が、ご説法に驚嘆したからだといわれています。
お釈迦さまが、東西南北上下の六方世界(大宇宙)にまします諸仏方のお名前を挙げられ、それら無量の諸仏がひとえに、弥陀の本願一つを説き勧めていられることを明らかにされているのが、この『阿弥陀経』の内容です。
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